ひとり親の養育費2026年4月に変わったこと

2026年4月に変わったこと

改正された民法が2026年4月1日に施行されました。養育費に関わる変更は大きく2つで、どちらも「取り決めがなくて詰んでいた」状況を動かすためのものです。

以前に離婚した人が使えるのは、先取特権のほうです

法定養育費 先取特権
何ができるか 取り決めがなくても
養育費を請求できる
公正証書がなくても
差押えができる
金額 子1人につき月2万円 子1人につき月8万円まで
2026年4月より前に
離婚した場合
使えない 使える
施行日以後に発生する分が対象

「もう離婚してしまったから関係ない」ではありません。何年も前に離婚していても、二人で作った合意書があれば、いまは差押えを申し立てられます。ただし対象になるのは2026年4月1日より後に発生する分で、それ以前の未払い分には先取特権は付きません。

根拠:令和6年法律第33号 附則第3条第1項・第2項。2026年9月7日確認。

法定養育費(民法766条の3)

どういう制度か
養育費の取り決めをしないまま協議離婚した場合に、主に子どもを育てている側が、もう一方に対して子ども1人につき月2万円を請求できます。子ども2人なら4万円、3人なら6万円です。離婚の日から発生し、毎月末が支払期限になります。
いつまで請求できるか
①二人で養育費の取り決めをした日、②審判が確定した日、③子どもが成人した日 — このうちいちばん早い日までです。
相手が払えないと言ったら
支払う側が「支払う能力がない」「払うと生活が著しく苦しくなる」ことを自分で証明した場合は、全部または一部を拒めます。家庭裁判所が支払能力を考慮して免除や猶予を命じることもあります。
注意してほしいこと
これはあくまで暫定的な金額です。法務省も「取り決めをするまでの補充的な制度」と説明しています。本来の養育費は、二人の収入と子どもの人数・年齢から算定表で決めます。月2万円で済ませてよい、という意味ではありません。

本来の金額を算定表で調べる

根拠:民法766条の3、令和7年法務省令第56号(金額)。法務省の解説 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html 2026年9月7日確認。

先取特権(民法306条3号・308条の2)

どういう制度か
養育費を受け取る権利に「先取特権」という優先権が付きました。これにより、公正証書や調停調書がなくても、父母の間で作った私的な取り決め文書だけで差押えを申し立てられます。あわせて、ほかの借金の債権者より優先して回収できます。
いくらまで
子ども1人につき月8万円まで。2人なら16万円、3人なら24万円です。これを超える分は、従来どおり公正証書などが必要になります。
相手の勤務先や口座が分からない場合
先取特権を証する文書を出せば、財産開示や、勤務先・預貯金の情報を裁判所を通じて調べる手続きも使えます。以前は公正証書などを持っている人にしか認められていませんでした。
手続き上の違い
法定養育費にもとづいて差し押さえる場合は、裁判所が必要と認めれば相手方に言い分を聞くこと(審尋)があります。通常の差押えは相手に知らせずに進みますが、ここは例外です。

差押えの手順と費用を見る

根拠:民法306条3号・308条の2、民事執行法193条、令和7年法務省令第56号(金額)。2026年9月7日確認。

手続きが軽くなりました

相手に収入の開示を命じられるようになった
養育費などの審判で、家庭裁判所が当事者に収入や資産の情報開示を命じることができます。正当な理由なく開示しなかったり、嘘の開示をしたりすると10万円以下の過料です(家事事件手続法152条の2)。
財産を調べる手続きと差押えが1本につながった
財産開示や勤務先の情報取得を申し立てると、同時に差押えも申し立てたものとして扱われます。相手が財産を明かさなかったときは、裁判所が職権で市区町村に給与の情報提供を命じます。手数料は、差し押さえる先が特定できた段階で追加で納める形になりました(民事執行法167条の17)。
共同親権と養育費の関係
離婚後に父母の双方を親権者にできるようになりましたが、養育費の額は共同親権かどうかで決まるものではありません。法務省も「養育費は子の利益の観点から適切に定められるべきもので、施行後も変更はない」と説明しています。逆に、養育費を長く払ってこなかった親が共同親権への変更を求める場合、支払ってきたかどうかが重要な判断材料になります。

根拠:家事事件手続法152条の2、民事執行法167条の17、民法819条。法務省Q&A(民法編・令和8年4月22日改訂)。2026年9月7日確認。

このページについて

法令と法務省の公表資料にもとづく一般的な情報です。個別の事情についての法律判断はできません。実際の手続きは、相談窓口や弁護士・司法書士にご相談ください。

施行期日を定めた政令の番号は、公的サイトで確認できていないため記載していません(未確認)。