ひとり親の養育費未払いを回収する

未払いを回収する

払われなくなったときの手順です。あわてなくて大丈夫です。2026年4月から、公正証書がなくても差押えを申し立てられるようになりました。二人で作った合意書だけでも進められます。

手元にある書面で、進み方が変わります

手元にあるもの できること 金額の上限
公正証書(認諾文言付き)
調停調書・審判書
そのまま差押えができる 上限なし
二人が署名した合意書
離婚協議書
差押えができる
2026年4月から。先取特権という仕組みです
子1人につき月8万円まで
何もない
(口約束だけ)
先に取り決めが必要
2026年4月以後の離婚なら月2万円を請求できます
法定養育費は子1人につき月2万円

2026年4月に変わったことを詳しく見る

根拠:民法306条3号・308条の2、民法766条の3、民事執行法193条。2026年9月7日確認。

催告から差押えまで

  1. 相手に催告する

    まず「いつまでにいくら払ってください」と伝えます。内容証明郵便にすると、いつ何を求めたかが記録に残ります。これだけで払われることもあります。

    内容証明郵便:1,500円前後(郵便局の料金による)

  2. 履行勧告を使う(調停・審判で決めた場合)

    家庭裁判所から相手に「払ってください」と連絡してもらえます。費用はかかりません。強制力はありませんが、裁判所から連絡が来ることで動く相手もいます。

    無料

  3. 相手の財産を調べる

    勤務先や口座が分からない場合、裁判所を通じて調べる手続きがあります(第三者からの情報取得手続)。先取特権を証する文書を出せば、公正証書がなくても使えます。

    申立手数料 1,000円+予納金(下の表)

  4. 差押えを申し立てる

    相手の給与や預貯金を差し押さえます。一度手続きをすれば、将来の分についても続けて差し押さえられます(毎月やり直す必要はありません)。

    差押命令の申立て 4,000円+郵便切手

2026年4月から手続きが1本につながりました。財産開示や勤務先の情報取得を申し立てると、同時に差押えも申し立てたものとして扱われます。相手が財産を明かさなかったときは、裁判所が職権で市区町村に給与の情報提供を命じます。手数料は、差し押さえる先が特定できた段階で追加で納めます。

根拠:民事執行法167条の17、193条、205〜207条、民事訴訟費用等に関する法律3条の2。2026年9月7日確認。

どこを差し押さえるか

差し押さえる先 情報取得の予納金 先に財産開示が必要か 向いている場面
預貯金 5,000円
金融機関1つ増えるごとに+4,000円
要らない まず動きたいとき。手続きが一番軽い
給与 6,000円
相手先1つ増えるごとに+2,000円
要る 相手に安定した勤め先があるとき。毎月続けて回収できる
不動産 6,000円 要る 相手が家や土地を持っているとき

預貯金だけは、先に財産開示をしなくても情報を取れます。給与と不動産は、財産開示の手続きを済ませてから3年以内であることが条件です。急ぐなら預貯金から、毎月続けて回収したいなら給与、という選び方になります。

給与の差押えは、養育費では手厚くなっています。通常の借金では給与の4分の1までしか差し押さえられませんが、養育費は2分の1まで差し押さえられます。2026年4月から、法定養育費もこの対象です。

根拠:民事執行法151条の2、152条3項、205〜207条。予納金は裁判所の公表資料(前橋地裁・東京地裁)。郵便切手の額は裁判所ごとに違います。2026年9月7日確認。第三者への報酬の内訳は未確認です。

自分で申し立てる場合、いくらかかるか

相手の口座を調べる第三者からの情報取得手続1,000円 + 予納金5,000円
差押命令の申立て4,000円
郵便切手数千円(裁判所により異なる)
おおよその合計1万円台

弁護士に頼む場合は、着手金と報酬が別にかかります。収入が一定以下なら、法テラスが費用を立て替えてくれます(分割返済、生活保護受給中は猶予)。自治体によっては、この申立費用そのものを補助しているところもあります。

お住まいの自治体の補助を調べる

出典:民事訴訟費用等に関する法律 別表第一、裁判所の各庁公表資料。2026年9月7日確認。

次にやること

  • 手元の書面を確認する(合意書でも進められます)
  • いつから・いくら払われていないかを書き出す
  • 相手の勤務先・口座について分かっていることをまとめる
  • 無料の相談窓口に電話して、どの手続きから始めるか相談する

手続きをすれば必ず回収できるわけではありません。相手に支払う資力がなければ、差し押さえるものがないこともあります。

このページについて

法令と裁判所の公表資料にもとづく一般的な情報です。個別の事情についての法律判断や代理はできません。実際の申立ては、家庭裁判所・地方裁判所の窓口や弁護士・司法書士にご相談ください。

費用は目安です。郵便切手の額など、裁判所ごとに異なるものがあります。